AIに、どこまで任せる? 基準は「取り返しがつくか」(15秒)

今日は「AIに、どこまで任せていいか」を、自分の頭の中を整理しながら書きます。

「頼もしい」の前に、責任は誰が取るのか

今朝、AI経営本部が自分の抜けを見つけました。毎日コンテンツは作っているのに、サイトへの公開のほうが止まっていた。それを私が指摘する前に、AI経営本部が自分で見つけて、その場で公開まで直しました。

こう書くと「頼もしい」と思われるかもしれません。でも、正直に言うと、私が感じたのは、頼もしさではありませんでした。何かあったとき、最後に責任を取るのは人間だからです。だから、私がAIに求めるのは、二つだけです。一つは、任せた仕事の跡が、記録として残っていること。もう一つは、取り返しのつかないことを、AIが勝手にやらないこと。速さや賢さより、まずこの二つが要ります。

お金、契約、人間関係。この三つをAIが勝手に動かすと、間違えたときに取り返すのに、時間もお金も余分にかかります。逆に言えば、取り返しがつく範囲であれば、どんどん任せていい。任せる基準は「賢いかどうか」ではなく「取り返しがつくかどうか」だと、使っていて腹に落ちました。

「取り返しがつくか」で線を引く

この基準の良いところは、迷ったときに、すぐ判断できることです。たとえば、資料の下書きをAIに作らせる。これは、間違っていても直せばいい。取り返しがつくので、任せます。調べものをAIにさせる。出てきた材料が的外れなら、捨てればいい。これも任せます。一方で、取引先へメールを送る、見積の金額を確定する、契約に判を押す。これらは、いちど出てしまえば戻せません。だから、AIには手前まで作らせて、最後は人が押します。

「賢いかどうか」で線を引くと、AIが賢くなるたびに、線のほうが動いてしまいます。けれど「取り返しがつくかどうか」は、AIの賢さとは関係なく、こちら側で決められます。どれだけAIが賢くなっても、戻せないものは戻せない。だから、この線は動かしません。

「決めたのに、やれない」を二つに分ける

もう一つ、今日つきつけられたことがあります。数日前に「今日送る」と決めた連絡が、実際には送られずに溜まっていました。決めたのに、やれていない。社長業をやっていると、これが、いちばん怖い。

なぜ進まないのか。分けてみると、原因は二つでした。一つは、そもそも忘れている。もう一つは、忘れてはいないけれど、時間が尽きてしまう。この二つは、見た目は同じ「やれていない」ですが、実態はまったく違います。だから、打つ手も変わります。

忘れるほうは、単純です。AIが「これ、まだですけど、やらなくていいんですか」と、横から流してくれればいい。私がわざわざ探しにいかなくても、向こうから出てくる。しかも、さきほど書いたお金と契約と人間関係だけは私が握るとして、それ以外なら、忘れているくらいなら、先に進めてしまってくれたほうが助かります。忘れを、人の記憶に頼るのをやめる。ここは、仕組みで消せます。

時間切れのほうこそ、AIに考えてほしい

やっかいなのは、時間が尽きるほうです。これは優先順位と時間配分の問題で、忘れる問題より、根が深い。やること自体は覚えている。ただ、一日の時間が足りない。あれもこれもと手をつけているうちに、いちばん大事なことが、いちばん後ろに回ってしまう。

使っていて痛感するのは、AIは私の健康までは見てくれない、ということです。AIがあると、いくらでも仕事ができてしまう。私自身、AI経営本部の開発と実証実験が楽しくて、寝る直前まで触っています。おかげで、睡眠は削られる。健康管理は、結局、自分でやるしかありません。便利になったぶん、際限なく働けてしまう。ここは、AIの弱点というより、人の側の落とし穴です。

だから、ここをAIに助けてほしい。今日の残り時間と予定を見て、逆算する。「このままだと、今日いちばん大事なことが、終わらないかもしれません」。そう先に教えてくれるだけでいい。カレンダーを見て、限りある時間から逆算して、優先順位を差し出してくれる。スマホやアプリの通知で、そっと出してくれると、いちばんありがたい。

戻せないものだけ、自分が握る

この話は、社長ひとりに判断が集まる会社ほど、効くはずです。まず、AIに任せるかどうかを「賢いか」で決めるのをやめて、「取り返しがつくか」で決める。取り返しがつくものは、思いきって任せる。戻せないもの、つまりお金と契約と人だけ、自分が握る。そのうえで、決めたのに進んでいないことを、AIに毎日「これ、まだです」と出させる。忘れは仕組みで消し、時間切れは逆算で先に知らせてもらう。

賢く答えを出すことより、こういう地味な支えのほうが、経営の現場では効きます。任せる線引きを決めて、忘れず進めさせて、時間切れを先に知らせてもらう。派手さはありませんが、これが毎日回ると、決めたことが、実際に前に進むようになります。

MICOTOの取り組み

AI棟梁(社長の決めごとを、社内の手順に置きかえる役)。社員が自社の実データから、動くAIツールを1本つくり切る研修です。

AI経営本部。お金の流れ・営業・週次の経営会議を、AIエージェントの組織で回す仕組みです。

30分のデモを申し込む